恋愛や性の場面でよく耳にする「SとM」という言葉。
「自分はどっちなんだろう?」と考えたことはありませんか?
恋人との関係性や自分の性癖を理解する上で、S(支配・リード)なのか、M(受け身・服従)なのかを把握することは、心の安心や関係の満足度に直結します。
しかし実際には、「私はSでもMでもない気がする」「状況によって変わる」という人も多く存在します。この記事では、心理学的な解説と具体的な質問を用いながら、自分のタイプを見つめ直すためのヒントをお伝えします。
SとMは本当に二分できるもの?
まず最初に理解しておきたいのは、SとMは「白黒はっきり分かれるものではない」ということです。心理学のパーソナリティ研究でも、人の性質は連続体(グラデーション)で表されると考えられています。つまり「S寄りだけどMっぽい面もある」といった形が自然なのです。
実際に、性的嗜好や恋愛スタイルは気分や相手によって変わることもあり、「どちらか一方に固定されるものではない」と理解することが、モヤモヤ解消の第一歩です。
自分を知る3つの質問
それでは、ここから「私はS?M?」を考えるための3つの質問を紹介します。これらは心理学的な自己理解の方法を取り入れたものです。すぐに結論を出すのではなく、自分の感情や欲求に耳を傾けながら考えてみてください。
質問1:相手にリードされるとき、安心しますか?
この問いは「依存傾向」と「安心欲求」に関連しています。
相手にリードされることで安心感や心地よさを感じるなら、M的な要素が強い可能性があります。逆に「自分が主導したい」「相手に任せると不安」と思う場合は、S的な傾向が強いかもしれません。
例えば、デートの行き先を決めるとき、相手にお任せするのが楽しいと感じるか、それとも自分が決めないと落ち着かないのか――その違いがSかMかを判断する手がかりになります。
質問2:相手が困っているとき、どう感じますか?
この質問は「支配欲」と「共感力」のバランスを見るものです。
相手が困っているときに「助けたい」と思う人もいれば、「その姿が少し愛おしい」と感じる人もいます。前者はM寄りで、後者はS寄りといえるでしょう。
ただし、これは善悪の問題ではありません。S寄りの人は「自分の方が優位に立ちたい」という感覚を無意識に持ち、M寄りの人は「相手を支えたい、従いたい」という安心感を求める傾向があるのです。
質問3:快感を覚える瞬間はどんなときですか?
性や恋愛において「どんなときに心が満たされるか」を知ることは、自分のタイプを理解する鍵となります。
例えば「相手を思い通りにできたときに満足する」ならS的、「相手に委ねて受け入れられると安心する」ならM的な要素が強いといえます。
中には「相手次第で変わる」「どちらも楽しめる」という人もおり、その場合は「バランス型」と呼ばれることもあります。
Q&A:SかMかを決められないときは?
Q1:どっちでもない気がするのですが…
A1:無理にSかMかを決める必要はありません。心理学的に見ても、人間の性格や嗜好は流動的であり、状況や相手によって変化します。「私はどちらでもない」という自覚も、立派な自己理解の一つです。
Q2:彼から『Mっぽいね』と言われてモヤモヤします。
A2:他人の評価は一面的であることが多いものです。相手がそう感じても、自分の感覚が違えば「私はそうは思わない」と受け止めて良いのです。むしろ、相手の言葉をきっかけに「自分はどう感じているのか?」を考えることが大切です。
Q3:自分がSかMか知ることは本当に必要ですか?
A3:必ずしも必要ではありませんが、恋愛や性の満足度を高めるヒントになります。例えばM寄りの人が「もっとリードしてほしい」と伝えれば関係がスムーズになりますし、S寄りの人が「自分が主導したい」と分かれば、相手に安心感を与えることができます。
体験談:自分のタイプが分からず悩んだ私の場合
ここで、ある女性の体験談を紹介します。
「私は彼から『お前はMっぽい』と言われて、自分でもそうかもしれないと思い込んでいました。でも、いざ関係を深めると、彼にリードされるときよりも、自分が彼をからかっているときの方が楽しいと気づいたんです。そこで初めて『私はSっぽい要素があるんだ』と自覚しました。最初はモヤモヤしていましたが、自分の気持ちを見つめ直したことで、より自然に恋愛を楽しめるようになりました。」
この体験からも分かるように、「自分はSかMか」と悩む時間は、自分を深く理解するための大切な過程です。大事なのは、誰かに決めてもらうことではなく、自分の心がどう感じているのかを丁寧に見つめることなのです。
SとMの心理学的な背景をさらに深掘りする
「Sなのか、Mなのか分からない」というモヤモヤを理解するためには、SとMの背景にある心理を知ることが大切です。心理学的に見ると、S的な傾向とM的な傾向にはそれぞれ特徴があります。
S的傾向の心理
Sの人は「コントロール感」に快感を覚えやすいとされます。相手をリードすることで、自分の存在価値を確認したり、自信を高めたりするのです。心理学では「自己効力感」と呼ばれる感覚に近く、誰かを導くことで「自分は有能だ」と感じることができます。
また、S的な人は「支配」ではなく「安心を与えるリーダーシップ」としてS性を表現することもあり、一概に攻撃的なものではないのが特徴です。
M的傾向の心理
Mの人は「受け入れられること」に快感を覚えやすい傾向があります。相手に委ねることで安心感を得るのは、心理学的に「依存欲求」や「承認欲求」と関連しています。
しかしM的な性質は必ずしも弱さではありません。むしろ「信頼できる人に任せたい」という健全な欲求であり、愛情を深める手段にもなり得ます。
どちらでもない「スイッチ型」
最近の心理学研究では、SとMを切り替えることができる「スイッチ型」の存在も注目されています。状況や相手によって役割を変えられる柔軟性が特徴であり、「私はどっちなのか分からない」と悩む人の多くがこのタイプに当てはまります。
自己理解を深める3つのワーク
ここからは、自分の中にあるS性やM性を整理するためのワークを紹介します。ノートやスマホに書き出しながら取り組むと効果的です。
ワーク1:快感を感じた瞬間を書き出す
過去の恋愛や親しい関係の中で「心地よかった瞬間」「ドキドキした瞬間」を思い出し、できるだけ具体的に書き出しましょう。
・相手に強引に引っ張られたときワクワクした → M寄り
・自分が相手を主導したときに気分が良かった → S寄り
こうしたパターンを見つけることで、自分の嗜好の傾向が見えてきます。
ワーク2:理想の恋愛シーンを想像する
もし理想の恋愛を描くなら、どんなシーンが浮かびますか?
・相手に手を引かれて導かれるシーン → M傾向
・自分が相手をエスコートするシーン → S傾向
空想の中に現れる自分の役割は、潜在的な欲求を映し出しています。
ワーク3:ストレス時の行動を観察する
ストレスを感じたとき、人は本音が出やすくなります。
・自分で状況をコントロールしたい → S傾向
・誰かに支えてもらいたい → M傾向
日常の中での行動パターンも、SかMかを理解する手がかりになります。
追加体験談:モヤモヤを解消したケース
ここで、実際に「自分はSかMか分からない」と悩んだ女性の体験談をご紹介します。
「私はずっと、自分はMだと思い込んでいました。彼にリードされるのが楽だったからです。でも、ある日彼があまり積極的でなく、私がデートをリードしたときに不思議な満足感を覚えました。『私って実はSっぽい部分もあるのかも?』と気づいた瞬間です。それからは『今日は私がリードしてみたい』と素直に伝えられるようになり、彼も楽しんでくれるようになりました。結果として、関係がより対等でバランスの取れたものになりました。」
この体験から分かるのは、「SかMか」をはっきり決めなくても良いということです。むしろ「その時々の自分の欲求を受け入れる」ことが、モヤモヤを解消する近道なのです。
Q&A:ワークや体験談に関する疑問
Q4:ワークをやってもはっきり分かりません。
A4:はっきり分からなくても問題ありません。むしろ「状況によって変わる」という気づき自体が大きな前進です。自己理解は一瞬で答えが出るものではなく、少しずつ整理されていくものです。
Q5:相手と嗜好が合わないときはどうすれば?
A5:嗜好が完全に一致しなくても、対話と工夫で解決できます。例えば、S寄りの相手とM寄りの自分が組み合わさる場合は自然とバランスが取れますし、どちらもS寄りなら「今日はどちらがリードするか決める」といった工夫が可能です。
Q6:スイッチ型だと中途半端になりませんか?
A6:スイッチ型はむしろ柔軟で、相手との関係性に合わせて楽しみ方を変えられるメリットがあります。「どちらでも楽しめる」という特性は、恋愛の幅を広げる強みになります。
長期的にモヤモヤを解消する方法
「自分はSなのかMなのか分からない」というモヤモヤは、一度答えを出しても再び湧き上がることがあります。これは人の心が常に変化しているからです。ここでは、長期的に自分らしい恋愛を楽しむための工夫を紹介します。
1. パートナーとの対話を習慣にする
自分の性質を理解することと同じくらい大切なのが、パートナーと共有することです。
例えば「今日はリードしてみたいな」「今日は任せたい気分」と、気分を正直に伝えるだけでも関係はスムーズになります。
心理学では、こうしたオープンな会話は「安心型アタッチメント」を育む効果があるとされています。安心できる関係は、SかMかという枠を超えて二人を支えてくれます。
2. 柔軟な自分を受け入れる
「どちらかに決めなきゃ」と焦るよりも、「私はそのときの気分で変わる」と受け入れる方が健全です。S寄りの日もあればM寄りの日もある。それを「矛盾」と捉えるのではなく「幅の広さ」として受け入れることで、モヤモヤは自然と薄れていきます。
3. 自分の心身の状態をチェックする
疲れているときは受け身になりやすく、元気なときは主導的になりやすいなど、SやMの傾向は体調や心理状態によっても変化します。
自分の変化に気づき、「今の私はこうなんだ」と受け入れることが、自分を理解する上で重要なポイントです。
パートナーと安心して話すための3つのコツ
自分がSかMかを考えることは大切ですが、それ以上に「二人でどう楽しむか」を共有することが大切です。そのために役立つ3つの対話法を紹介します。
コツ1:アイ・メッセージを使う
「あなたはいつもSすぎる」と言うと責めているように聞こえます。代わりに「私は強くリードされると不安になる」と伝えることで、自分の気持ちを中心に表現できます。これにより、相手が防御的にならずに受け止めやすくなります。
コツ2:安心できるルールを作る
「今日はここまではOK」「これ以上はやめよう」といったルールをあらかじめ決めておくと、不安が減ります。海外の研究でも、カップルがルールやセーフワードを取り入れることで信頼関係が強化されると報告されています。
コツ3:小さな感謝を伝える
「ありがとう」と伝える習慣は、恋愛の質を大きく変えます。S寄りの行動でもM寄りの行動でも、相手が自分を思ってしてくれたことなら、感謝を伝えることでその行動がポジティブに定着していきます。
体験談:対話によってモヤモヤを乗り越えた私
「私はずっと『自分はMなのかな?』と思っていました。でも、彼が強くリードすると苦しく感じることもあって、どうしていいか分からず悩んでいました。勇気を出して『私は時々リードしたい気分になるんだ』と伝えてみたら、彼は『それならたまには任せるよ』と笑ってくれたんです。そこからは、日によって役割を変えて楽しむようになりました。おかげでモヤモヤがなくなり、関係も前より自由になった気がします。」
この体験から分かるように、対話を通じて役割を柔軟に変えることは、モヤモヤを解消する大きな鍵になります。
まとめ:SかMかより大切なこと
ここまで「Sなのか、Mなのか分からない…」という悩みに対して、心理学的な背景、自己理解のワーク、体験談、そしてパートナーとの対話法を紹介しました。
最終的に大切なのは「どちらであっても自分らしくいられること」です。
SかMかに縛られすぎると苦しくなってしまいますが、「その時々の自分を大切にする」ことで恋愛や性はもっと自由で心地よいものになります。
- SかMかは固定されたものではなく、グラデーションのように変化する
- 自己理解を深めるワークで、自分の傾向を見つけやすくなる
- パートナーとの対話で、安心できる関係を築ける
- 無理に決めつけず、柔軟に楽しむことがモヤモヤ解消の鍵
あなたがSでもMでも、あるいはその両方でも、それは「自分の一部」にすぎません。大切なのは、その気づきを通じて恋愛をより安心して楽しむことです。自分を理解し、パートナーと分かち合うことで、きっと新しい関係の形が見えてくるはずです。
最後に
「私はS?M?」と悩む時間は、決して無駄ではありません。むしろ自分の心を知る大切なステップです。
モヤモヤを抱えたときこそ、自分に問いかけ、パートナーと対話を重ねてみてください。
あなたが安心して恋愛を楽しめることを心から願っています。