「SかMかで聞かれるけど、どちらにも当てはまらない気がする」
「自分の性癖って一体何なんだろう?」
――そんなモヤモヤを抱えている人は少なくありません。
恋愛や性の世界では、SとMという二項対立で語られることが多いですが、実際にはそのどちらにも属さない人がたくさんいます。
この記事では、SでもMでもない立場から「心から満たされる性癖の見つけ方」を心理学や体験談を交えながらご紹介します。
なぜ「SかMか」で悩んでしまうのか?
日本の恋愛文化の中で「あなたはS?M?」という質問はよくあります。合コンや恋バナの場で盛り上がる定番の話題でもありますよね。
しかし、この二択はあまりにもシンプルすぎて、多くの人の本当の気持ちを表しきれていません。
二択思考の落とし穴
心理学では、物事を「白か黒か」で考える傾向を「二分法的思考」と呼びます。この思考はわかりやすい反面、自分の多様な側面を見落としやすくなるというデメリットがあります。
SでもMでもない自分を「中途半端」だと感じてしまうのも、この二分法的思考の影響です。
グラデーションとしての性癖
実際の性癖はグラデーションであり、SとMの間に無数の段階が存在します。さらにはその枠組みに収まらない欲求やスタイルも多くあります。
例えば「優しく愛されたいけれど、支配されたいわけではない」「リードしたい気分もあるけど、常にではない」といった感覚は決して珍しいことではありません。
SでもMでもない人が抱えやすい悩み
- 「自分は性癖がないのでは?」という不安
- 相手に合わせるばかりで疲れてしまう
- 「普通すぎる」と思われないか心配になる
- 性的に盛り上がれないと感じる瞬間がある
これらの悩みは、自分の性癖を「名前」で表せないことから生まれやすいものです。しかし重要なのは、名前ではなく「心から満たされるかどうか」です。
Q&A:SでもMでもないっておかしいの?
- Q1. 周りがみんなSかMを名乗っていると、自分だけ違う気がして不安です。
- A1. 決しておかしいことではありません。むしろSかMと即答できる人のほうが少数派で、多くの人はグラデーションの中間に位置しています。
- Q2. 性癖が分からないのは恋愛に不利ですか?
- A2. 不利ではありません。むしろ「一緒に探していこう」という姿勢はパートナーとの信頼を深める大きなチャンスになります。
- Q3. 性癖がない人なんているの?
- A3. 「ない」のではなく「まだ自分で気づいていない」だけです。性癖は必ずしも派手なものでなく、「優しく抱きしめられるのが好き」など日常的な欲求も立派な性癖に含まれます。
体験談:SでもMでもない私の気づき
「ずっと自分は『普通すぎてつまらないんじゃないか』と思っていました。彼から『君はMっぽいよね?』と聞かれても、どう返していいか分からなかったんです。でもある時『私は優しくされるのが好き。でも支配されたり命令されるのは違う』と正直に伝えたら、彼が『それが君の性癖だよ』と言ってくれました。そこで初めて“名前がつかなくてもいいんだ”と気づけました。」(28歳・保育士)
心理学から見る「自分らしい性癖の探し方」
心理学的に、人が快感を得る行動やシチュエーションは「報酬系」と呼ばれる脳の仕組みに強く関わっています。つまり「自分が気持ちいいと感じること」そのものが性癖につながります。
重要なのは「他人がどう思うか」ではなく「自分がどう感じるか」。ここにフォーカスすることで、自分らしい性癖を見つけやすくなります。
性癖を見つけるための自己質問
- どんなときに安心感や心地よさを感じるか?
- 性的な場面で「もっとこうしてほしい」と思うのはどんなときか?
- 逆に「これは嫌だ」と思うシチュエーションは何か?
このような質問を自分に投げかけることで、自分の欲求が少しずつ輪郭を持ち始めます。
体験談:自分の「安心癖」を発見
「私はずっと性癖がない人間だと思っていました。でも心理学の本で『安心感も性癖になりうる』と読んでから、私は『安心癖』があるんだと気づきました。彼に『ぎゅっとされてるだけで満たされる』と言ったら、すごく理解してくれて…。それからは無理にSとかMとか考えなくなりました。」(32歳・事務職)
性癖は「組み合わせ」で考える
性癖を見つけるうえで大切なのは「一つのラベル」にこだわらないことです。SかMかという単純な分類ではなく、複数の欲求や傾向を組み合わせて考えることで、自分らしさが見えてきます。
性癖の4つの側面
- スキンシップの好み:優しく触れられるのが好きか、強く押さえられるのが好きか。
- 心理的な欲求:リードされたいか、自由でいたいか。
- シチュエーションのこだわり:場所や雰囲気に強く影響されるか。
- 役割感覚:支配・服従ではなく「一緒に楽しむ感覚」を重視するか。
これらを掛け合わせることで「私の性癖は“安心感を伴ったリードされたい欲求”」のように、自分らしい表現が見えてきます。
Q&A:性癖の見つけ方に関するよくある疑問
- Q4. 自分の欲求をどうやって気づけばいいの?
- A4. 性的な場面に限らず、日常の中で「心地いい」と感じる瞬間を観察してください。たとえば「髪を撫でられると安心する」なども性癖の一部です。
- Q5. 性癖が相手と合わなかったら?
- A5. 完全に一致する必要はありません。大切なのは「互いに歩み寄れる部分を見つけること」です。共通の心地よさを探すことで関係が深まります。
- Q6. 性癖を相手に伝えるのが怖いです。
- A6. いきなり全てを打ち明ける必要はありません。まずは「安心できることが好き」「もっとリードされたい」など、表現をやわらかくすることで抵抗が減ります。
体験談:組み合わせで見つけた私の性癖
「私はSでもMでもなく、どちらかといえば『一緒に盛り上がりたい』タイプでした。彼に『特別なプレイじゃなくても、見つめ合うだけで気持ちが高まる』と伝えたら、彼も『じゃあそういう時間を大切にしよう』と言ってくれました。私にとっては“視線プレイ”が一番の性癖だったんだと気づきました。」(27歳・金融)
心理学で解説:「自己概念」と性癖の関係
心理学では、人は「自己概念」という枠組みを持っています。これは「自分はこういう人間だ」というイメージのこと。
性癖を理解することは、この自己概念をより豊かにする行為でもあります。自分を正しく理解できると、恋愛や性生活に限らず、自己肯定感全体が高まるのです。
自己肯定感が高まるプロセス
- 自分の欲求を言葉にする
- 相手に伝えて受け入れられる
- 「これでいいんだ」と実感する
この流れを繰り返すことで、自分らしさが確立していきます。
体験談:伝えることで変わった私
「前は自分の欲求を隠していました。でも勇気を出して『スキンシップを長くしてほしい』と伝えたら、彼がすぐに応えてくれて…。それ以来、安心して自分の希望を話せるようになりました。結果的に関係も深まって、以前よりずっと幸せを感じます。」(34歳・教育関係)
性癖を探す実践ステップ
ここでは、誰でもできる「性癖の自己発見法」をご紹介します。
ステップ1:快と不快のメモを取る
性的な場面だけでなく、日常で「心地いい」「嫌だ」と感じたことをメモします。たとえば「人前で手をつながれるのが好き」「大きな声で話されるのは苦手」など。
この積み重ねが自分の傾向を明確にします。
ステップ2:共通点を探す
メモを見返して「共通するテーマ」を探しましょう。安心感、リード、独占感、自由など、あなたの核心が見えてきます。
ステップ3:パートナーと共有
見つけた傾向をパートナーに伝えてみましょう。「私、安心して触れられるのが一番好きみたい」などシンプルで構いません。共有することでお互いの理解が深まります。
体験談:日記で気づいた自分の性癖
「友達にすすめられて“快・不快日記”をつけ始めました。すると、私は『大切に扱われる』ことに強く反応するタイプだと気づきました。『性癖ってハードなものだけじゃないんだ』と思えたことで、すごく気持ちが楽になりました。」(29歳・看護師)
性癖を見つけると恋愛が楽になる理由
「自分の性癖を理解すること」は、単なる性的な発見にとどまりません。恋愛そのものをスムーズにし、心からの満足感を得るために役立つのです。
① 自分を説明できる安心感
「どうして私はこう感じるんだろう?」という疑問が解消され、自信を持って相手に説明できるようになります。これは心理学でいう「自己理解」にあたり、人間関係全般を良好にする効果があります。
② 無理をしなくなる
性癖を知らないまま相手に合わせると、どこかでストレスがたまります。自分を理解していれば「これは違う」「ここは心地いい」と判断できるため、無理のない関係を築けます。
③ 相手への理解が深まる
自分の性癖を理解する過程は、相手の欲求を理解するトレーニングにもなります。「人それぞれ違う」という前提を受け入れやすくなり、より寛容な関係が築けるのです。
Q&A:恋愛と性癖のバランスについて
- Q7. 性癖を優先すると恋愛がうまくいかなくなりませんか?
- A7. 優先するのではなく「共有する」のが大切です。性癖は恋愛の一部であり、全てではありません。恋愛の土台が安心感にあることを忘れないでください。
- Q8. 相手が自分と違う性癖を持っていたらどうすれば?
- A8. 全てを合わせる必要はなく、お互いが受け入れられる範囲を見つければ十分です。心理学でも「妥協点を探る交渉」が長続きする関係の鍵とされています。
- Q9. 性癖を伝えすぎて引かれないか心配です。
- A9. 性癖は「段階的に小出しにする」のがおすすめです。最初からすべてを語る必要はなく、安心できる関係ができたときに少しずつ伝えれば問題ありません。
体験談:性癖を共有して関係が深まったカップル
「私は『スキンシップが長く続くこと』が大好きで、性癖といえばそれでした。でも彼は最初、少し照れくさそうにしていました。ある日勇気を出して『手をつないだまま寝たい』と伝えたら、彼が『そういうの好きだよ』と答えてくれて…。それからは自然に触れ合う時間が増えて、今まで以上に仲良くなれました。」(31歳・販売職)
心理学的解説:性愛と「親密感」
心理学者エリック・エリクソンの発達理論によれば、大人の愛情関係は「親密感」を軸に発展していきます。この親密感は、相手と自己を深く理解し合うことで育まれます。
性癖の共有は、この「親密感」を強化する有効な手段です。「自分を知ってもらえた」「相手を知れた」という経験が、より強い絆を作り出します。
性癖の共有が信頼を深めるプロセス
- 自分の欲求を整理する
- 小さな部分から相手に伝える
- 受け入れられた経験が信頼感を生む
- さらに深い部分を共有できるようになる
体験談:性癖を隠して失敗した私
「前の恋人のときは、自分の欲求を隠して相手に合わせてばかりいました。表面的にはうまくいっていたけど、どこか物足りなさを感じて…。結局長続きしませんでした。今の彼には『私は安心できる雰囲気が一番大事』と伝えていて、前よりずっと楽に過ごせています。」(26歳・サービス業)
性癖を探すための「安全な実験」
自分の性癖を理解するためには、少しずつ新しい体験を試してみるのも有効です。ただし大切なのは「安心して試せる環境」を整えることです。
安全な実験のポイント
- 無理をせず、興味があることから始める
- 事前に「嫌だったらやめる」と合意する
- 小さな工夫で変化を楽しむ(照明、音楽、雰囲気など)
これらの工夫を取り入れることで「やってみたら意外に好きだった」という発見が生まれやすくなります。
体験談:小さな実験で分かったこと
「彼と一緒に『お互いが気になることを1つずつ試そう』という約束をしました。私は『優しく耳元でささやかれるのが好き』と伝えて実際にやってもらったら、思った以上に満たされました。逆に、彼が試したいことは私には合わなくて、その時は笑いながらやめました。でも“嫌ならやめていい”という安心感があるから、挑戦できるんだと思います。」(30歳・事務職)